皆さん、こんにちは。季節の移り変わりを感じる今日この頃、日本の伝統行事について考える機会はありますか？

実は日本には、古くから大切にされてきた「五節句」という素晴らしい季節の行事があります。七草粥を食べる1月7日の人日の節句、ひな人形を飾る3月3日の上巳の節句、こいのぼりを掲げる5月5日の端午の節句…。これらの行事には、先人たちの季節の変わり目を健やかに過ごすための知恵が詰まっているのです。

しかし、現代の忙しい生活の中で、五節句の本来の意味や楽しみ方を知らない方も増えてきました。「ひな祭りやこどもの日は知っているけど、他の節句は？」「どうして季節ごとにこれらの行事があるの？」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、和菓子職人としての知識と経験を活かし、五節句の由来から現代での楽しみ方、季節の和菓子や行事食までを徹底解説します。伝統を知ることで、より豊かな日本の四季を感じることができるはずです。

季節の変わり目を健やかに過ごすための先人の知恵を学び、日常生活に取り入れてみませんか？五節句を知れば、日本の四季をより深く味わえる暮らしが始まります。

1. 日本の五節句とは？知っておきたい由来と意味【伝統行事の基礎知識】

日本の五節句は、季節の節目を祝う伝統行事として古くから親しまれてきました。現代でも家庭や地域で行われるこれらの行事には、先人たちの知恵と願いが込められています。五節句とは、人日（じんじつ・1月7日）、上巳（じょうし・3月3日）、端午（たんご・5月5日）、七夕（しちせき・7月7日）、重陽（ちょうよう・9月9日）の五つの節句を指します。平安時代に中国から伝わったこれらの節句は、季節の変わり目に邪気を払い、無病息災を願う行事として定着しました。

江戸時代には将軍徳川吉宗によって「五節句」が公式な年中行事として定められ、庶民の間にも広く浸透していきました。それぞれの節句には特色ある風習や食べ物があり、日本の文化的アイデンティティを形作る重要な要素となっています。

人日（七草の節句）では七草粥を食べて一年の健康を祈り、上巳（ひな祭り）では女の子の健やかな成長を願ってひな人形を飾ります。端午（こどもの日）には鯉のぼりや兜を飾って男の子の成長を祝い、七夕では短冊に願い事を書いて笹に吊るします。そして重陽（菊の節句）では菊の花を愛で、長寿を願う風習があります。

現代では祝日となっているのは5月5日のこどもの日のみですが、他の節句も日本の季節感や文化を伝える大切な機会として見直されています。それぞれの節句には、季節の変化に敏感に寄り添い、自然との調和を大切にしてきた日本人の感性が反映されているのです。次の節句では、ただ過ごすのではなく、その由来や意味を知ることで、より豊かな日本の伝統文化を体験してみてはいかがでしょうか。

2. 人形やこいのぼりだけじゃない！五節句の本来の楽しみ方と現代の過ごし方

日本の五節句は、単に人形を飾ったりこいのぼりを揚げたりするだけの行事ではありません。それぞれの節句には、季節の変わり目に邪気を払い、健康を願う深い意味があります。現代では忘れられがちな五節句の本来の楽しみ方と、現代的なアレンジを交えた過ごし方をご紹介します。

【人日の節句（1月7日）】
本来は七草粥を食べて邪気を払い、一年の無病息災を願う日です。七草には春の七草（せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ）を使います。現代では、スーパーで七草セットが販売されているので手軽に取り入れられます。家族で七草粥を食べながら、その年の目標や夢を語り合うのも素敵な過ごし方です。

【上巳の節句（3月3日）】
雛人形を飾るだけでなく、桃の花や菱餅、白酒（甘酒）などで祝うのが伝統です。桃には邪気払いの力があるとされています。現代の楽しみ方としては、女性同士でひな祭りパーティーを開催したり、ピンク色の食材を使った料理を楽しんだりするのもおすすめです。和菓子店「虎屋」や「とらや」では、この時期限定の華やかな上生菓子が販売され、食卓を彩ります。

【端午の節句（5月5日）】
こいのぼりと共に、菖蒲湯に入るのが伝統的な過ごし方です。菖蒲には魔除けの効果があるとされています。ちまきや柏餅を食べて無病息災を祈ります。現代では、親子で公園に出かけてこいのぼりを見に行ったり、家族でスポーツを楽しんだりする健康的な一日を過ごすのも良いでしょう。「京都 鶴屋鶴寿庵」の柏餅や「聘珍樓」の中華ちまきなど、老舗の味を楽しむのも特別感があります。

【七夕（7月7日）】
短冊に願い事を書いて笹に飾るだけでなく、本来は織姫と彦星の再会を祝う行事です。素麺を食べて季節を感じるのも伝統的です。現代では、各地で七夕祭りが開催されており、仙台七夕まつりや平塚七夕まつりなどは全国的に有名です。自宅では、家族で天体観測をしたり、織姫と彦星にちなんだ星空のデザートを作ったりするのも素敵です。

【重陽の節句（9月9日）】
現代では最も忘れられがちな節句ですが、菊の花を愛で、菊酒を飲むのが伝統です。菊には長寿のパワーがあるとされています。高い山に登り、邪気を払うという風習もありました。現代の楽しみ方としては、各地の菊花展を訪れたり、菊の花を使ったお茶やスイーツを楽しんだりするのがおすすめです。「新宿御苑」や「小石川後楽園」では、秋になると美しい菊の展示が楽しめます。

五節句は日本の四季の移ろいを感じる絶好の機会です。形式にとらわれず、その本質を理解しながら、現代の生活に合わせてアレンジして楽しみましょう。伝統を大切にしながらも、自分らしい節句の過ごし方を見つけることで、日本の文化がより身近に感じられるはずです。

3. 暮らしに取り入れたい五節句の風習〜季節の変わり目を健やかに過ごすための知恵

五節句は単なる年中行事ではなく、季節の変わり目に体調を整え、災いを払う知恵が詰まった先人からの贈り物です。現代の暮らしに五節句の風習を取り入れることで、季節の移ろいをより豊かに感じられるようになります。

七草粥は人日の代表的な風習ですが、単に伝統として食べるだけでなく、胃腸を休める効果があります。お正月の御馳走で疲れた胃を休め、新陳代謝を促す効果が期待できるのです。七草を探す手間が面倒な方は、スーパーの七草セットを活用すれば手軽に取り入れられます。

上巳の節句では、桃の花を飾ることで邪気を払います。生花が難しい場合は、桃の香りのアロマオイルを使った芳香浴も現代風アレンジとして効果的。また、この時期に行う「形代（ひとがた）」で身体の穢れを祓う風習は、今でいうデトックスの意味合いがあります。和紙で人型を作り、身体をなでて穢れを移し、川や海に流す習慣を簡略化して、入浴剤を入れた特別なお風呂で心身をリフレッシュする方法もおすすめです。

端午の節句の菖蒲湯は、殺菌効果があり疲労回復に役立ちます。香りの強い菖蒲を入れた湯に浸かることで、初夏の疲れを癒し、邪気を払うとされています。また、柏餅に使われる柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「家系が絶えない」という縁起物。この季節特有の植物の力を借りて、健康と家内安全を祈る習慣は今も価値があります。

七夕には願い事を書いた短冊を笹に飾りますが、これは目標設定の機会としても活用できます。家族で願い事を書き、半年後に振り返ることで、自己啓発や家族の絆を深める時間になります。

重陽の節句では、菊の花を飾ったり、菊酒を飲んだりする風習があります。菊には解毒作用があり、秋の季節の変わり目に体調を整える効果が期待できます。菊の花びらを浮かべたお茶や、菊の香りの入浴剤を使うことで、手軽に季節の養生ができます。

五節句の風習を現代の暮らしに合わせてアレンジし取り入れることで、季節の変化に敏感になり、自然と調和した健やかな生活リズムを取り戻せるでしょう。伝統行事には先人の知恵と経験が詰まっています。形式にとらわれず、その本質を理解して日常に活かすことが、現代の五節句の楽しみ方といえるのではないでしょうか。

4. プロが教える！五節句にまつわる季節の和菓子と行事食の美味しい楽しみ方

五節句は料理や和菓子を通じても楽しめる日本の素晴らしい文化です。季節の移り変わりとともに味わう特別な食べ物は、節句の風情をさらに深めてくれます。ここでは、各節句で楽しみたい和菓子や行事食の魅力をご紹介します。

■人日（七草の節句）の味わい
1月7日の人日には、七草粥を食べる習慣があります。春の七草（せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ）を入れたお粥は、正月の疲れた胃を休め、一年の無病息災を願う優しい食べ物です。

老舗和菓子店「とらや」では、この時期限定で七草をモチーフにした練り切りが登場します。見た目の美しさと季節感あふれる繊細な味わいが特徴です。また、せり餅も各地で作られる郷土食。シンプルながら香り高いせりの風味が楽しめます。

■上巳（桃の節句）の甘味
3月3日のひな祭りといえば、ひなあられと白酒（甘酒）が定番です。色とりどりのひなあられは、春の訪れを告げる彩り豊かなお菓子。京都の老舗「鶴屋吉信」の桃の花をかたどった上生菓子は、見た目の美しさと上品な甘さで人気です。

菱餅も欠かせません。緑（健康）、白（清浄）、ピンク（桃の花）の三色が春の訪れを告げます。また、ちらし寿司や蛤のお吸い物は、女の子の健やかな成長を願う行事食として親しまれています。

■端午（菖蒲の節句）の力強い味
5月5日の端午の節句には、力強いお菓子と料理が勢ぞろい。柏餅は、新芽が出るまで古い葉が落ちない柏の葉で包まれており、「家系が絶えない」という縁起物です。東京「虎屋」の柏餅は、こしあんとみそあんの2種類が楽しめます。

ちまきも端午の節句には欠かせません。中国から伝わったこのお菓子は、地域によって笹の葉や竹の皮で米を包み、様々な形や味わいがあります。鰹や筍を使った料理も、この時期ならではの旬の味覚として重宝されます。

■七夕（星の節句）の涼やかな一品
7月7日の七夕には、そうめんを食べる風習があります。細く長いそうめんは、織姫の機織りの糸をイメージしているとも言われています。京都の「俵屋吉富」では、七夕をモチーフにした星形の琥珀糖や、天の川をイメージした青い色素を使った和菓子が季節限定で登場します。

また、笹の葉の香りを生かした笹団子や、七夕ゼリーなど、夏の暑さを和らげる涼やかな和菓子も各地で親しまれています。

■重陽（菊の節句）の深まる秋の味覚
9月9日の重陽の節句は、現代ではあまり知られていませんが、菊の花を浮かべた菊酒や、菊の葉を混ぜた菊餅などが伝統的に楽しまれてきました。金沢の老舗「森八」では、この時期に菊の意匠を凝らした上生菓子が並びます。

また、栗や柿といった秋の味覚を使った和菓子も充実する季節。菊の節句に合わせて、栗きんとんや栗蒸し羊羹などを楽しむのもおすすめです。

■家庭で楽しむ五節句の食文化
五節句の行事食は、特別な日だからこそ家族で楽しめる素晴らしい文化です。各地の老舗和菓子店では、節句に合わせた特別な和菓子が販売されているので、ぜひ探してみてください。

また、自宅で作る場合も、季節の素材を取り入れることで、より風情ある食卓になります。七草粥は春の七草を摘んで作ったり、ちらし寿司は季節の花の形に飾り切りしたりと、ひと工夫することで、節句の楽しさが倍増します。

五節句の食文化は、季節を感じ、歴史に思いを馳せる貴重な機会です。次の節句には、ぜひ伝統的な和菓子や行事食を取り入れて、日本の四季折々の味わいを存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。

5. 五節句で日本の四季を感じる〜次の世代に伝えたい季節の行事とその魅力

日本の五節句は四季の移ろいを美しく映し出す伝統行事です。人日（1月7日）、上巳（3月3日）、端午（5月5日）、七夕（7月7日）、重陽（9月9日）と、季節の変わり目に位置するこれらの節句は、現代の忙しい生活の中でも四季を感じる大切な機会となっています。節句ごとに異なる飾りや食べ物、風習があり、日本人の季節感や美意識が凝縮されているのです。

五節句の魅力は、単なる行事を超えた「季節の体験」にあります。七草粥を食べながら春の訪れを感じ、ひな人形を飾って桃の節句を祝い、こいのぼりが風に泳ぐ光景を眺め、七夕の短冊に願いを託し、菊の花を愛でる―これらの体験は、デジタル化が進む現代だからこそ価値があります。自然のリズムに寄り添う生活の知恵が五節句には詰まっているのです。

また、節句行事には子どもの健やかな成長を願う気持ちが込められています。特に桃の節句や端午の節句は、子どもたちの成長と幸せを願う行事として広く親しまれています。この伝統を次世代に伝えることは、日本文化の継承だけでなく、季節の変化に敏感な感性を育むことにもつながります。

節句を家庭で祝う際は、完璧を目指すのではなく、できることから始めるのがポイントです。ひな人形やこいのぼりをコンパクトサイズにする、手作りの飾りを工夫する、季節の食材を使った簡単な料理を楽しむなど、現代の生活スタイルに合わせたアレンジも素敵です。大切なのは形式ではなく、季節の行事を家族で共有する喜びです。

五節句は日本の四季折々の美しさと文化の豊かさを体感できる貴重な機会です。次世代に伝えていくべきこの文化的遺産を、現代の生活の中にどう取り入れるか、それぞれの家庭で工夫してみてはいかがでしょうか。季節を感じる暮らしは、日々の生活に彩りと潤いをもたらしてくれることでしょう。